川底の道

上物とはよく言ったもので、地上の上の物は地とは関係なく時間の流れとともに刻々と変化していく。逆に地あるいは地形はそれほど変化しないものである。例えば丸ノ内線の駅に茗荷谷というところがある。お茶の水女子大学の近くの駅だ。

その名の通り、江戸時代にはこの谷で茗荷がよく育ったのである。そして地形としては今も変わらない谷底。丸ノ内線から見える階段はとても急で、この谷の深さを感じることができる。

家を出てどこかへ出かけるときに必ず通る道がある。絵ではうまく表現できなかったのだが、道のこちら側100メートルほどすると白子川の源流がある。白子川とは武蔵野台地特有の湧き水の川である。しかし地形からみると、この道は実は白子川だったのではないかと思われる。

つまりこのみちは、単なる歩道ではなくて、昔は小川が流れていたのでは。

その時々の変化を追うのも良いのだが、時には、地上の物たちを取っ払って変わらない姿を想像してみる。また楽しいことでもある。