元号インフレの平安時代

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新しい元号である令和が制定されたところで、ちょうど良い機会ですので、元号で日本の歴史を振り返っています。この前の記事では最初の元号である大化が使われた飛鳥時代から奈良時代までもカバーしました。奈良時代最後の元号である延暦の時代に京が奈良から京都へ遷都されました。平安時代の始まりです。今回の記事ではこの平安時代の元号で歴史を振り返ってみたいと思います。

平安時代ということで、皆さんはどのような時代をイメージするでしょうか。源氏物語絵巻などで華麗なる王朝文化を思い起こす人も多いでしょう。しかし元号でこの時代を振り返ってみると、ある意味激動の時代でもあります。一人の天皇の時代でも改元を繰り返している場合が多いのです。またここが元号で振り返る歴史の面白さでもあります。多面的にその時代がわかるきっかけともなるからです。

令和の原典となった大伴旅人の序文は、奈良時代の文化的な精華ともいうべき万葉集からのものです。この大伴氏が滅亡したのはこの平安時代。色々な意味も興味深い時代です。では早速、元号でこの平安時代を振り返ってみましょう。

平安時代は806年から1185年まで続いて長期の時代です。そして先に書きましたように一代の天皇で何回も改元する場合もありましたので、元号の数は膨大なものです。ただ不思議なのは、記憶に残るような元号が少ないことです。天皇の権力が、奈良時代などと比較すると格段に落ちてきたのがその要因でしょう。政治の中心がまずは藤原氏に代表される貴族に次には平氏や源氏の武士階級に移りました。時には復権を狙う天皇が登場して国が混乱する。このような時代です。

・大同
平安時代最初の元号。古代時代を代表する天皇であった桓武天皇が崩御の後に後をついだ平城天皇による改元です。目立った事件などはありませんでしたが、平城天皇が退位して平城上皇となり、天皇である嵯峨天皇との二重権力構造が始まったことは、大きな動きであり、平安時代の混乱を象徴することでもあります。天皇在命中の譲位について最近も大きな議論となりましたが、このことを頭に置いていた関係者も多かったのではないでしょうか。

・承和:834年〜848年→仁明天皇
この元号の期間で目立つのは天変地異が多かったことです。主なものでは伊豆諸島神津島噴火、信濃国や伊豆国の大地震など。政治的にも大きな変動があり、それが承和の変とよばれるものです。話は複雑なのでここでは省略しますが、貴族である藤原氏(藤原良房)が権力を握るようになり、古代からの名門貴族である伴氏(大伴氏)を政権の中枢から追い出すことに成功します。

・貞観:859年〜877年→清和天皇、陽成天皇
引き続きと言っては何ですが、この元号の時代も天災が起こっています。特に注目されるのは富士山の大噴火。貞観の大噴火です。政変も同じく。藤原氏が権力を握っていく過程が続き、応天門の変により完全に大伴氏は葬り去られ、藤原良房が天皇血筋以外では始めて摂政となりました。

・延喜:901年〜923年→醍醐天皇
平安時代の大筋は、天皇から貴族あるいは武士への権力の移行です。この時代はその流れの中では珍しく、天皇が中心になって政治を行なったとされています。この年号で興味深いのは、怨霊が表舞台で活動したことです。もちろんのこと怨霊などの具体的なものがあったわけではありませんが、人々の不安の心理を反映したものだといえるでしょう。その怨霊の第一が菅原道真。太宰府に流された菅原道真はこの年号の時代に亡くなりました。左遷に関連した人たちが次々となくなり道真の怨霊が原因だとされたことです。余談ではありますが、安倍晴明が誕生したのもこの元号の時です。

・承平・天慶:931年〜947年→朱雀天皇
天災や朝廷内の権力争いはありましたが、平安時代のこのあたりまではまだ平和な時代だといっても良いでしょう。風向きが変わってくるのはこの元号のあたりからとなります。その特徴は、地方の反乱です。東国では平将門であり、瀬戸内海地域では藤原純友による反乱です。特に将門は東国で独立国家的なものを作りあげようとしました。2つの乱とも平定されますが、武士階級が力を示し始めたことで、時代は大きく変わっていくことになります。

・寛弘:1004年〜1011年→一条天皇、三条天皇
元号的にはそれほど有名なものではありませんが、平安時代の区切りとしては重要な年号です。藤原氏が着々とその権力の基盤を築いてきたことは、これまでの元号説明でお分かりの通り。それが完成したのはこの時期であり、藤原道真がその完成者です。この時期は文化的にも平安時代を代表するものであり、紫式部、清少納言、和泉式部や赤染衛門など女流の文筆家が活躍しました。

さて平安時代はまだまだ続くことになりますが、今回の記事もだいぶ長いものとなりました。続きはまた今度の記事で展開することにします。

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