俳句をはじめる本

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ビジネスも含んで日常生活を豊かにするためには発想力が必要だ、と痛感する今日この頃です。SNSにしても、発想力のあるひとはどんどんと活躍の場を広げていることが、友達の活動を見ているとよくわかります。一方ではSNSでの発想力のない雑言で、あなたの人生詰んでしまったような人も、最近は増えています。

発想力は一部の限られた人だけが持つ能力ではありません。誰にでも備わっているものです。しかし他の力、たとえば体力などと同様に、訓練しなければその力は伸びないものです。ではその訓練とは。私自身色々と考えてみたりあるいは試してみたりして、辿りついたのが、俳句です。俳句を作ることで発想力が磨かれるのでは。これが私の考え。もちろん他の方法もあるのでしょうが、今現在は、これが良いのではないか。

俳句と発想力との関係については当サイトの他の記事で解説しておりますので、そちらを参考にしてもらうとして、今回の記事では具体的に俳句を作りはじめる手順についてお話したいと思います。もとより、私自身は俳句の素人であり、語るべき知見もありません。しかし同じ初心者として俳句の世界にすんなりと入れた経験は、多くの人の参考になると思います。この経験を中心にしてのお話ということです。

本題に入る前に、なぜ私が発想力訓練のための俳句に注目するようになったのか、その経緯について少し触れておきたいと思います。

藤沢周平氏は私が好きな小説家の一人です。苦労を絵にしたような人であり、20代は病気治療に費やして、30代からは家庭的な悲劇にもあいながら、仕事をしながら小説を書き続け、本格的な職業作家として活動し始めたのは、40代も後半のところです。感心もし不思議でもあったのは、氏をそのような活動に駆り立てたものは何か、ということです。

氏のエッセイを読んでいて自分なりに発見したと思うのは、療養所時代に句の会に氏が参加していたという事実です。氏自身はその当時のことをそれほど活発な活動はしていなかったと謙遜していますが、藤沢周平の俳句全集という本もあるくらいなので、その熱中度は自ずからわかることです。

俳句が氏のその後の創作活動の基本となったのは、間違いのないことです。もちろん、誰もが氏のような創作能力を身につけることはできないにしても、私たちの創作能力あるいは発想力に俳句が役立つのではないかと判断することは、それほどの間違いではないと、思ったわけです。

さて、本題に入ることにしましょう。私の俳句入門経験です。俳句をはじめるにあたって、俳句入門書的な本を何冊も読んでみました。それらの本の中で、自分にとっては最良だと思ったのは、「俳句上達9つのコツ」:井上弘美(NHK出版)です。

俳句で最初に面倒だと思うのは、その規則です。字数制限や季語の使い方などです。実際は、これらの規則があるから、俳句は誰でもが作りやすいとも言えるのですが。私としても当然のことながら、俳句とは面倒なものだということが頭にあったのですが、この本ではそのあたりのことが実によく配慮されており、気が付いてみると、面倒なところに気がつかないほどの軽快さで、入り口を過ぎていたのでした。

さて俳句の基本が理解できたところで、その中身へ進んでいきます。この本の基本的なあり方は、投稿者の俳句を添削しながら、いくつかの表現事項について解説していくものです。投稿者の俳句を添削しながら話を進めること自体は、この本独自のものではありません。逆に言えば、極一般的なものでもあります。では他書とどこが違うのでしょうか。

一番の違いは投稿された句の扱いです。単に句が取り上げられているだけでなく、この句がどのような状況で読まれたものかを説明する、投稿者の短文がついてくることです。なぜこのことが重要なのか。

単に説明されている文章を読んでいるだけではなく、私自身がこの添削活動に参加できるのです。この短文をまず読んで、自分なりにこの情景に合うような俳句を考えてみる。次に実際の投稿句と筆者による添削例を検討してみる。直接的に添削例が自分が今作った俳句には適応できないとしても、自分の俳句をさらによくするためのヒントにはなるわけです。

本書のような実用書(俳句ができるようになる)を読む場合に特に気をつけなければならない点があります。それは単に読んだだけでわかったつもりになってはいけない、ということ。その本に書かれていることを実際に自分で実体験することが何よりも重要なのです。その意味で行くと、本書を読むことが同時に自分の実践活動となるわけで、本書を読み終わるときには、自然と自分でも俳句のいくつかを作っていることになります。

私自身の俳句作りの出発点として、本書に出会ったことは、一つの幸運であったと言っても過言ではないでしょう。

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